市川五行歌会

房総文学の発祥の地、市川市で2008年春に発会しました。

第109回「市川五行歌会」(投稿作品集)

投稿歌1首(題詠「涼」もしくは自由詠)

 

<題詠「涼」>

 

ぬけるような青空

スイスイ自転車こいだ

学生くんの白いシャツ

夏虫色にふくらませ

一涼の風となる            うみやま

 

なんともすずしげ

「涼」という字

漢字は思いを

姿で表わす

作った人の感謝を思う          かずみ

 

大地

マグマを懐きながら

地表には

こんなにも涼やかな

露草を                佐々木斐都

 

「望外」

「実力以上の結果」

勝っても慎ましい

藤井聡太

天才は涼しい。             田川宏朗

 

第二の人生

はなむけの贈り物は

涼感乳液

腕に塗って

しばし楽しむ              酒井里子

 

山頂を吹き抜ける

涼やかな風

見渡せば遠く

霞んでいく

緑の樹々                中澤京華

 

<自由詠>

 

閻魔様に

厄介者扱いされて

此の世に

来た可能性も

無きにしもあらず            高原郁子

 

今年も

熱風がめくる

原爆の記憶

涙、幾筋

皺に刻んで                彩葉

 

五行歌集「コラージュ」を上梓した漂彦龍さんから絵葉書の五行歌が届きましたので、ご紹介致します。

 

波間にいっしゅん

キラキラと

浮んで消える

怪魚の鱗のような

歌を                                                                  漂彦龍

 

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<投稿者>

彩葉、うみやま、かずみ、酒井里子、佐々木斐都、高原郁子、

田川宏朗、中澤京華、漂彦龍

 

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