市川五行歌会

房総文学の発祥の地、市川市で2008年春に発会しました。

第111回「市川五行歌会」(投稿作品集)

投稿歌1首(題詠「道」もしくは自由詠)

 

<題詠「道」>

 

道草をして

帰る

子供達に

暖を

もらう                高原郁子

 

神への畏敬の念

辿れば

祖母ありし日

道端の庚申塔

合掌した思い出            酒井里子

 

パラ聖火走者にエントリーして

通勤経路を

徒歩にした二年前

いま消えかける

オリパラの火             田川宏朗

 

何度もあった別れ道

あっちあっちと選んでいても

結局

ここに

なったのかしら            西本祥子

 

道は

願いによって

支えられ

努力と誠意を

結んでいく              中澤京華

 

<自由詠>

 

どんどん弱くなる

冷たい父の手を

にぎりながら

見送ることばは

ただありがとう            うみやま

 

朱金の光波

滲ませ

天空の風にとける

妖月光の

切先                 一歳

 

読み疲れて

挿む

みずいろの栞

連々と続く

日々にも               佐々木斐都

 

風の微熱に

春を読み

ペン先向ける

詠み人知らずの

桜花                  彩葉

 

<投稿者>

一歳、彩葉、うみやま、酒井里子、佐々木斐都、高原郁子、

田川宏朗、中澤京華、西本祥子

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