市川五行歌会

房総文学の発祥の地、市川市で2008年春に発会しました。

第112回「市川五行歌会」(投稿作品集)

投稿歌;(題詠「色」)

題詠一首、自由詠一首の合わせて二首、もしくは題詠か自由詠のどちらか一首。

 

<題詠「色」>

 

褪せてくすんで沈んだ

こんな世界の片隅から

こんこんと

静かに静かに

色は目覚め始めた           うみやま 

 

萌黄色のそらまめ

塩ゆでし一粒一粒

口にほうり込む

子どもの頃の夕餉は

醤油煮のお多福豆             かずみ

 

映像でもいい

月食よりも

グリーンフラッシュ

みんなで見て

幸せになろう              酒井里子

 

何て明るい

バタの色

朝の食卓に過る

微かな翳をも

ぬりこめる              佐々木斐都

 

雲を流すのは

誰か

緑に音をつくるのは

誰か

夏風                 彩葉

 

鮮やかな虹の色彩

広がる夢の余韻

心に残し

刻々と

溶けていく             中澤京華

 

<自由詠>

 

なんとも

居心地のよい

城なんだと

ひとりの老いた女城主

屈託なく笑う            かずみ

 

園芸の趣味

超えた

オープンガーデン

人々の心に

花が咲く              酒井里子

 

田を一つ

耕して

結び一つ

食べる

幸せ                高原郁子

 

Simpleを

極めれば

骨のかたち

ダイヤモンドシェイプも

かなわぬよ             佐々木斐都

 

笑ってる

まるい瞳の想い出は

勿忘草の花一輪

挿した足音

夢の瞬き              彩葉

 

桔梗の花が

導く

懐かしい場所

道の辺で

遠い記憶を辿る           中澤京華

 

<投稿者>

彩葉、うみやま、かずみ、酒井里子、佐々木斐都、高原郁子、中澤京華

 

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