市川五行歌会

房総文学の発祥の地、市川市で2008年春に発会しました。

第113回「市川五行歌会」(投稿作品集)

投稿歌;(題詠「月」)

題詠一首、自由詠一首の合わせて二首、もしくは題詠か自由詠のどちらか一首。

 

<題詠「月」>

 

綺麗に

見える月の

心まで

綺麗とは

限らない           高原郁子

 

なんて早いの〜

あれよ

 あれよ

あっという間に

もう・・・12月        うみやま 

 

月には

うさぎが住むという

遠き日のかたらい

幼き日のふしぎ

幼き日のとまどい         るい

 

ほぼ皆既月食

しっかり見た

60年後は

絶対いない自分に

安堵する            かずみ

 

眠れぬ夜に出会った

満月が放つ

複十文字の眩い光

その長い尾

貴方にも見せたい       酒井里子

 

壊れかけた地球の

傷痕を

浮彫にして

静かに廻ってゆく

月             佐々木斐都

 

昼下りの月

のごと

ひとたび

時が来れば

あまねく道照らせ       田川宏朗

 

束の間の休日に

ぶれた理性で

ペンを握れば

姑息な歌を

月がそそのかす          彩葉

 

うす〜く

見える

昼の月

私も気持ち

明るくなる         中澤麻祐子

 

日ごとに変化する

反射光

月の満ち欠け

見つめ

遡る時            中澤京華

 

<自由詠>

 

川明りを

頼りに

進む

一匹の

のら猫            高原郁子

 

クリスマス頃に

紅葉するかも・・・

サンタの背景はもみじ?

今までの四季を

これからも下さい。       かずみ

 

手作りカード

私も贈ろう

別れた兄弟

いてくれる友

静かな聖夜に         酒井里子

 

トーフヤの音

ヒコーキの音

皆くるくる降りてくる

この

日溜まりに         佐々木斐都

 

瀬戸内寂聴が逝く

肉と酒と

万年筆の握り方

愛したのは

let it be                                             彩葉

 

ずっと

見ている

空の色

雲の形

私の一部になって      中澤麻祐子

 

森の中

梟の声

響き渡り

夢中で走った

日が巡る           中澤京華

 

※文庫サイズの大活字本、シルバー文庫の出版社「ぺんで舎」で代表を務めている佐々木龍さん、こと漂彦龍さんからいただいた絵葉書の五行歌も併せてご紹介致します。

 

言葉が

まっすぐ

届かないのは

地球のカーブの

せいにしておく         漂彦龍

 

f:id:ichikawa-5gyohka:20211218091514j:plain

<投稿者>

彩葉、うみやま、かずみ、酒井里子、佐々木斐都、高原郁子、

田川宏朗、中澤京華、中澤麻祐子、るい

f:id:ichikawa-5gyohka:20211218092313j:plain

f:id:ichikawa-5gyohka:20211218092343j:plain