市川五行歌会

房総文学の発祥の地、市川市で2008年春に発会しました。

第107回「市川五行歌会」(投稿作品集)

投稿歌1首(題詠「緑」もしくは自由詠)

 

<題詠「緑」>

 

うす墨の夕空に              
ぽっと白い月
そぞろまだかと
ささやく緑(みどり)は
春をいざなう          うみやま
 
青葱が                   
好きやねん
深緑の
ヒリリと匂う
うまい料理の素                                   かずみ
 
きゅうくつそうに             
小さな みどり葉
あなたが
ここ と
決めたのなら、よし        西本祥子
 
厳冬に逝った               
人のぶんまで
見つめたい
花も
緑も                田川宏朗
 
若緑輝く                 
芽吹きの五葉松
天地人に活ける
梢の先は
宙の彼方を指す           酒井里子
 
ガゼルのように             
春は来た
弾む
鼓動
みどりごの上にも          佐々木斐都
 
黒髪の                    
女に化けた
雌カラス
男心を
ヒールで突く              彩葉
 
草木萌動(そうもくめばえいずる)                 
浅緑の若芽が
柔らかく
心に
働きかける               中澤京華
 
<自由詠>
 
高原さんは                  
体調が
優れないと
ほぼ天気か
夫のせいにする             高原郁子
 
遣唐使船                    
西の涯の泊
三井楽(みみらくのしま)に
沙門空海
「辞本涯」                 一歳
 
 
<投稿者>
一歳、彩葉、うみやま、 かずみ、酒井里子、佐々木斐都、
高原郁子、田川宏朗、西本祥子、中澤京華
 

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第百七回「市川五行歌会」
 
 
 
*次回は2020年6月13日(土)に開催予定。
題詠及び開催場所と時間は来月以降お知らせします。