市川五行歌会

房総文学の発祥の地、市川市で2008年春に発会しました。

第116回市川五行歌会(投稿作品集)

投稿歌;(題詠「現実」)

題詠一首、自由詠一首の合わせて二首、もしくは題詠か自由詠のどちらか一首。

 

<題詠「現実」> 

 

蛸ペチャンコせんべい

バリバリバリ

あれ枚数減ってる

私の好物まで・・・

値上がりの現実が目の前に         かずみ

 

己の

コトバで

周りを動かせ

現実を

書きかえろ               田川宏朗

 

心まで痛めつけた夏

コロナワクチンもした

でも、それだけじゃなかった

帯状疱疹、これが痛いのよ

まさかの現実               るい

 

沖の漁り火

幻想のように浮かび

この

現実を

遠避ける              佐々木斐都

 

ストンと

恋に落ちた

夢は

醒めても

現実を支える             酒井里子

 

刻一刻と

過去となる

現実を乗り越えて

未来への希望が

呼び起こされる            中澤京華

 

<自由詠>

 

正体のない

私の正体

母に似てきた今

良い正体が

現われた                かずみ

 

初冬の

生け垣に

サザンカ紅く

地にも

紅く                  田川宏朗

 

山咲の枯れ枝の下

青々と葉をのばして

ムスカリ

いつもの春の

準備をしている              るい

 

雲間に

機影のくぐもった音

空を

あたたかに

ラッピング              佐々木斐都

 

ライトアップが

流行っているが

深紅の紅葉は

自然光の下で

より輝く                酒井里子

 

房咲水仙

くっきりと

白く一輪

静かに告げる

冬の訪れ                中澤京華

 

うなじの生毛を

低く束ねる頃、

母性の乳臭さは

少女の青臭さに

香る                    彩葉

 

<投稿者>

彩葉、かずみ、酒井里子、佐々木斐都、田川宏朗、中澤京華、るい