市川五行歌会

房総文学の発祥の地、市川市で2008年春に発会しました。

第117回市川五行歌会

日時;2023年3月11日(土)13:30~16:30

開催場所;市川市男女共同参画センター『ウィズ』研修室C

     JR市川駅、京成真間駅から徒歩5分ぐらい

      地図;市川市|市川市男女共同参画センター『ウィズ』

題詠「陽」、自由詠

 

<一席>

猫まで亡くし

昼間のワイン

赤い

夕陽が

落ちるまで        佐々木斐都

 

<二席>

春色の五線譜に

風のクレッシェンド

指で踏めば

桜の花びら

響き舞う              彩葉

 

<三席>

妻は体をあづけて

老いた夫は

ネックレスをつける

長い刻(とき)をきざんで

無言の言葉を交わす       るい

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ Other ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

開店前の

半シャッター

マネキンの

視線かわして

駅ビル抜ける        佐々木斐都

 

春の陽光に

身をまかせ

薄紅を

風に捨てる

秒読みの桜吹雪          彩葉

 

一袋すべて

筋の取り易い

きぬさや

朝の緊張

ほどけてゆく         酒井里子

 

話さない限り

自分にしか

聞こえない

思い巡らす

心の声            中澤京華

 

粉砕骨折と歌友が・・・

自分の両膝に

忘れていた痛み走る

苦しいリハビリに耐えて

どうか どうか と祈る      かずみ

 

ぐんぐん

のびるひろがる

明るい

陽に向かって

進め              うみやま

 

背にいっぱい陽をあつめて

寒風の中

子供達が

ころがるように

おにごっこをする          るい

 

髪を二つ結びにした

まだ幼い娘が

父に抱かれて

にこにこしていた

柔らかな陽だまり        中澤京華

 

『陽のあたる坂道』

石坂洋次郎の小説

石原裕次郎の映画

思春期のわたしは

これが青春だと思っていた      かずみ

 

<投稿者>

彩葉、うみやま、かずみ、酒井里子、佐々木斐都、中澤京華、るい

※次回は2023年6月10日(土)に開催予定。題詠「扉」、自由詠。

来月以降に改めてご案内致します。